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最高裁判所大法廷 昭和24年(れ)1662号 判決 1950年11月29日

主文

本件再上告を棄却する。

理由

弁護人江川甚一郎の再上告趣意について。

所論再上告の申立は、昭和二四年四月二八日福岡高等裁判所の為した上告棄却の決定に対するものであり、従って、判決に対するものでない点で不適法たるを免れない。しかのみならず、その申立の理由とするところは、憲法三二条違反とはいっているが、その実質は、要するに「上告趣意書差出期間経過後に差出された弁護人選任届によっては、その以前期間内になされた同弁護人名義の上告趣意書の差出を有効ならしめることはできない。」とした原決定の判断を不当であるというに帰する。されば、仮りに所論申立が再抗告であるとしても、原判決のした単なる訴訟手続法上の判断を訴訟法上不当であると主張するに過ぎないものであるから、刑訴応急措置法一八条所定の適法な再抗告理由ということはできない。

よって旧刑訴四四六条に則り裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上登 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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